ドクターズインタビュー
吉村 昇(よしむら のぼる)
消化器内科
H10 防衛医科大学校 卒
―― 先生が診療を行う上で大切にしているモットーを教えてください。
病気の診断・治療を行う際に1番の情報源となるのは、患者さんとの会話から得られる情報です。そのため、何よりも患者さんのお話を丁寧にうかがうことを大切にしています。消化器内科には、腹痛や胃もたれ、便秘のような一般的な消化器症状のご相談や消化器がんを心配されている方、内視鏡検査を目的として受診される方などがいらっしゃいます。病気の診断がついていない方や病気の早期発見を目的として来院されている方も多いため、患者さんの訴えと身体所見などをふまえて、常に幅広い視点をもって検査や診断を進めていくようにしています。
消化器疾患の診療は、消化器内科と消化器外科が連携して協力体制をとっています。ほとんどの消化器疾患の治療が当院で完結できる体制となっていますので、安心してご受診いただきたいと思います。
―― 内視鏡検査において、心がけていることを教えてください。
内視鏡検査に求められる最大の使命は、病気の早期発見です。早期発見できれば、病変の状態にもよりますが、内視鏡によってポリープや腫瘍が切除できる場合もあります。体にメスを入れることなく、治療できることも増えてきています。内視鏡診断は、内視鏡によって得られた画像から病変を見て診断する「形態診断」であるため、早期発見のためには、自分の頭の中に多数の異常なパターン、正常なパターンを認識しておくことが重要になります。私はいつも、小さな病変を見逃さないように「必ず病気を見つける!」という心意気で検査を行うようにしています。
―― 内視鏡検査の苦痛が心配です。どのような工夫をされていますか?
胃カメラは、経口内視鏡と経鼻内視鏡の2種類をお選びいただけます。オェッという嚥下反射が苦手な方には経鼻内視鏡がおすすめです。また、患者さんのご希望に応じて鎮静剤を使用し、半分寝ているような状態で検査することも可能です。鼻腔が狭い方や検査内容によっては、経口内視鏡が適した場合もありますので、患者さんにそれぞれのメリット、デメリットをよくご説明した上で選択いただいています。
大腸カメラは、検査前の腸管洗浄剤の内服、検査時の痛み、検査後のお腹の張りが苦痛に感じやすいと言われています。腸管洗浄剤は内服を省略することはできませんが、最近では味も改善され、飲みやすくなっていますので、患者さんのご希望に合わせたものをご提案しています。大腸カメラを経験された方の中には、検査中の痛みがトラウマになっている方も少なくありません。どうしても痛みが心配な方には鎮痛薬などを使用して検査を行うこともあります。検査中は腸管に空気を入れ、腸を膨らませて検査を行いますが、当院ではこの空気を体内で吸収されやすい炭酸ガスを使用し、検査後のお腹の張りを軽減しています。
内視鏡検査で使用する機器やモニターは、近年、より苦痛が少なく、病変を見つけやすいものに進化しています。内視鏡検査の特性上、苦痛をゼロにすることは難しいのですが、苦痛を軽減する手段も増えておりますので、苦手意識を感じている方もご相談ください。